理事長所信

はじめに

富士五湖青年会議所が64年という歴史を迎えることができたのも、その時代に責任感と情熱を持った青年たちが相集い、明るい豊かな社会を創るという志の元、切磋琢磨したからではないでしょうか。その熱き想いを少しずつ積み重ね、人から人へと継承したからこそ人が人を呼び、時代の変化にも対応しつつ、64年という歴史を作り上げ、現在の富士五湖青年会議所が成り立っています。時代の変化はあれど、我々の活動は常に「奉仕」「修練」「友情」の3信条の元、地域社会の発展とそこに住む地域の人のため、尽力を尽くし、自己の成長を仲間と共有してきました。

夢を語らい、仲間と共鳴しあう若きリーダーの育成

2023年度日本青年会議所会頭(以下「会頭」という。)が今回意見書として多く「夢」というキーワードを発信していました。歴史を紐解くといつの時代も周りから見れば無謀と思われていた「夢」を諦めず挑戦をし続けてきたからこそ今があると思っています。これは青年会議所活動も同じだと思います。こうありたい、こうあるべきという想いを仲間と共鳴し、同じ志のもと、肩を組んで走っていく。これが今こそ必要なのではないかと感じております。そして夢を語らいそれに向かって走る姿は光り輝き、人が人を呼ぶ組織になると私は信じています。  青年会議所は本来リーダーを育成する団体です。リーダーとは辞書で調べると先導者、統率者という言葉が出ます。それは道を創り、他の者を導いていくことを意味しています。夢や目標なくして誰かを引っ張ることはできません。それは共有しないからです。だからこそ面と向かって、膝を突き合わせて夢を語り、その夢を実現させるよう全力で行動し、自己修練に励み、仲間とともに走り、次なるリーダーを導き、バトンを渡さなければなりません。

富士五湖地域の魅力を再確認と再確立

新型コロナウィルスが2020年から始まり全世界の社会を大きく変え、経済、産業も未曽有の打撃を受けました。富士北麓地域も例外ではなく、観光産業が地域を支える基幹産業であることから大きな衝撃を与えられました。

 しかし、悪いことばかりではありません。日本人観光客が豊かな自然を求め、ここ富士北麓地域に足を運んでいます。そしてここ近年の修学旅行のランキングは京都、奈良についで全国3位になっています。これも新型コロナウィルスに疲弊する学生に雄大な自然環境が選ばれる理由ではないかと思います。  しかし、これに甘んじてはいられません。一過性で終わらぬよう我々が住む富士北麓地域の魅力を再確認し、「新しい生活様式」、「新しい観光様式」を確立して日本だけでなく世界に発信していく必要があります。Withコロナ期を迎えた今、感染症対策を徹底する新しい生活様式に対応しつつ、外国人観光客だけでなく、国内観光の需要も高め、すでに認知されている従来のブランドだけでない高付加価値型の新しい観光モデルのあり方を構築し、afterコロナ期におけるインバウンド対応やオーバーツーリズムの解消など、持続可能な魅力ある地域になれるよう様々な関係機関と連携して発信していく必要があると思います。

65周年事業の推進

禅語に「竹有上下節」という言葉があります。竹は、上下の節と節の間が中空で、それが連なったおもしろい構造になっています。全部が節だと曲がらないし、全部が中空だとすぐに折れてしまいます。節のもつ堅さと中空のもつしなやかさのバランスがとれていることで、竹はそのしなやかな強さを保っているわけです。私たちの普段の生活は竹でいえば中空の部分です。これに対して創業何周年とか、結婚記念日とか、様々なイベントが節の部分です。普段の生活に流されるばかりだけでは、いつか心も身体も折れてしまいます。そこで竹と同じように、組織としても個人としても節目のもつ役割が大切になります。それぞれが節目を作ることで、過去をしっかりと認識し、未来を展望するとともに、現在を見つめ直す機会となります。過去・現在・未来を俯瞰し、自分自身の今を見つめ直して行動を起こす節目をもつことで、組織や個人が生きていくなかで何かが生じた時、強い風が吹いて嵐になった時に、その対応力に差が現れると思います。JCも同じだと思います。「節目」を大切にする団体です。それはなぜでしょうか。JCの組織や事業は単年度制で常に新しくなることから弱点があるように思えます。それは外部とのつながりの維持や実績の継承ができないことやJC の事業は変われども何を目指すのかが不明確の場合内部のメンバーや外部の協力者もついていくのが難しくなるように思えます。また、情報共有が十分に行われにくいという課題があると感じています。しかし、悪いことばかりではありません。常に新しく新陳代謝をしていくことでもあるのでプラスとしても考えられます。また、新しい役職やチャレンジする機会が自分の意思次第で挑戦ができるというのも大きな利点だと感じます。長所、短所も自覚しつつ、周年事業はその弱点を補うため、中長期ビジョンを作り、LOMとして目指すべき方向性を確立し、JC 内外に発信し、行政や各企業などとのつながりを構築、維持しメンバーのモチベーションを上げるための事業でなければなりません。

 その灯台があるからこそ、現役メンバーは同じ方向を向き進むことができ、その目標のため、会員拡大もできると信じています。周年という「節目」を利用し、JC としてのあるべき姿を再確認し、内外に発信するため、この1年は有意義にしていかなければならないと感じます。

持続可能な組織を目指す会員拡大

近年、様々な団体の増加や情報化社会の急速な進化、多様な生活の変化などの要因から誰もが参加、活躍できる組織を創っていくことが急務となっております。富士五湖青年会議所も他人事ではなく、会員減少の歯止めがかからない状態です。その状態を打破するため、オブザーバーの勧誘やシニアへの共有をして、その問題を解決するべく日夜仲間探しをしているところです。それに併せて経験豊富な会員が卒業してしまい、経験のあまりないアカデミー会員が急に役職を担ってもらうことが横行しています。こうなるとやることがわからない上に重圧や期日に追われ、本来得られるであろうやりがいや楽しさがなく、ただ大変だという思いだけが残り、本人にとっても会議所にとってもいい流れがでないと考えます。今の時代に合った青年会議所活動を行っていくために会員拡大と組織力強化をしていく必要があると感じています。

冒頭で話した通り、それは決して青年会議所だけの問題だけではありません。私たちが住み暮らす富士五湖エリアでは人口減少、少子高齢化、経済成長の鈍化、富士山噴火など自然災害など、様々な問題を抱えております。私たち富士五湖青年会議所はこれらの多様化した社会問題や地域課題を解決していくため、より多くの人を巻き込み、夢を語り、影響力のある事業を展開していく必要があります。そして、その事業を夢物語にしたいためにも富士五湖エリアにいる青年たちと夢を語り、明るい豊かな社会の実現を目指して取り組む理念に共感し、ともに歩む仲間を多く迎え入れる必要があります。 「少数精鋭」言葉はいいが「数は力である」これも間違いない事実であります。すべての出会いが学びにつながり、その出会いがさらなる人をつないでいく。先輩たちがここまで私たちにつなげてくれたこの場所をこれから続く後輩たちに、そしてさらに続くように一人一人が行動していこう。

結びに

近年「JCしか無かった時代からJCもある時代へ」と言われることが多くなった様に感じます。いつの間にか他団体に埋もれてしまったのでしょうか。私はそうは思いません。世界的にも、日本国内においても、唯一無二の学び舎です。先人たちの弛まぬ努力によって創られてきた不変の存在が青年会議所であり、先人たちが想い、夢描いた明るい豊かな社会の実現は私たちの使命です。自分たちの子どもの成長や将来に夢や希望を抱くのと同じで、私たちも先人の夢や希望を叶えられる存在でなくてはなりません。この想いはJCでしかつながれない。だからこそいつの時代もJCしかないのです。

富士五湖青年会議所は1959年に設立されて以降、ともに向上し合い、社会に貢献しようという高い志のもと、常に変化する社会情勢と向き合いながら、地域の先頭に立って運動を展開してきました。困難に挑む勇気、仲間に支えられ乗り越える喜び、多様な仲間の価値観から得ることのできた新たな感性、自分の限界を超えさせてくれる仲間との絆、これらすべてが富士五湖青年会議所64年間の歴史が生み出してきた素晴らしい組織としての伝統です。その歴史、地域への熱い想いを引き継ぎ、未来へとつなげていくことが私たちの役目です。地域に求められる存在であり続けるためには、地域の課題を解決するため真摯にまちと向き合い、懸命に知恵を振り絞り、夢描く運動を創造し、熱い想いをもって発信していく必要があります。夢がない運動も熱がない言葉も人の心を動かすことはできません。青年会議所は人の心を動かす意識変革の団体です。ともに歩んできた地域の人びとをはじめとする各種団体、行政の皆様への感謝の気持ちを胸に「明るい豊かな社会」の実現にむけ、誠心誠意努めてまいります。

混沌とした今だからこそ、私たちは希望をもたらす変革の起点として一心一意、己を信じ、仲間を信じ、心一つに挑戦しよう、夢溢れるこの富士五湖のために。

公益社団法人富士五湖青年会議所
第64代理事長 白壁 竜次