理事長所信

はじめに

「晴れて良し曇りても良し富士の山、元の姿は変らざりけり」(山岡鉄舟)

雨でも、曇りでも、嵐でも、富士山は美しく、雄大にそこにそびえている。そういった意味の言葉です。私たちの本年の活動においても、先の見えない苦しい努力を強いられるような日々も訪れるかと思います。そんな時に目標を見失わないよう、この言葉を冒頭といたしました。

富士五湖青年会議所では2024年も徐々に会員数を増やし、スローガンの通り「JCを愉しむ」活動が出来ました。愉しみ絆を深めた仲間とともに、本年はさらに当団体の活動の発信及び会員拡大、人材育成を重点的に行います。また、会員のうち半数以上がアカデミー会員といった状況の中で、諸先輩方の育まれた歴史や習わしを引き継いでいく事はもちろんですが、目まぐるしく移りゆく社会と深く繋がり続ける為には新しい考え方も積極的に取り入れていく事も必要と考えております。本年はメンバーそれぞれの長所を生かし、「自分らしく」活動することで、自分でも気付かなかった自分の良いところに触れ、「採長補短」というように、人の長所を見習って、自分の短所を補うような集団を目指します。

また、良いものは残し、変えるべきものは変え、持続可能な富士五湖青年会議所を目指します。活動すればするほど負担が大きくなり、青年会議所の活動が家庭や仕事に支障を来すようなこともあります。家庭や仕事のさらに先にあるのが青年会議所だと思います。本年は積極的に会員の家族との懇親を深め、活動への理解を深めて家族と青年会議所の両立を図ることや、時代の移り変わりと共に常に便利に進化しているシステム等を積極的に取り入れ、効率を良くして仕事と青年会議所の両立を図ることで、持続可能な富士五湖青年会議所を目指します。

ブロック大会主幹LOMとして

本年、富士五湖の地にて山梨ブロック大会が開催されます。青年会議所メンバーのみならず市民の皆様や、行政や他団体にも多くご参加頂き、活動への理解を深めて頂くことで、今後の青年会議所の活動がさらに飛躍すると考えます。また、都心へのアクセスも良く自然あふれる富士五湖地域には、移住や二拠点生活をされている方も多いため、県外の方からも興味を持って頂けるイベントとすることで更なる集客を見込めます。その為には、外部から見た富士五湖地域の魅力を私たちが改めて認識する必要があります。積極的に移住者と交流をすることでアイディアを頂き、移住者の会員拡大も狙えられれば、富士五湖青年会議所に新たな風を吹かせ更に強い団体を目指すことができると考えます。多くの方々に山梨県ならびに富士五湖の魅力と青年会議所の存在意義を伝え、会員の拡大にも繋げたいと考えています。

青少年の育成及び観光客の誘致を目的とした国際交流

新型コロナウイルスの混乱も明け、最近は富士五湖地域にも多くの外国人観光客が訪れております。富士五湖地域に暮らしていても外国人との関わりは今後更に増えていき、積極的にコミュニケーションを取れる様になる事が大変重要だと考えます。子供達には、子供のうちから英語とふれあい、外国人と関わっていく事で将来の可能性を広げて頂きたいと考えています。また、子供達の国際交流だけにとどまらず、観光客の誘致や交流を目的としたマルシェ等の開催も計画しています。

地域共生社会へ向けた人のつながりづくりの推進

地域の存続・発展のためには、その地に住む人々が安心して暮らせるようなまちづくりの基盤が必要と考えています。人とのつながりが希薄になってきたといわれている現代社会で、富士五湖地域でも「社会的孤立」に起因する社会課題が山積しています。ひとり親、子どもの相対的貧困、教育格差、不登校、若者のニート引きこもり、高齢者の孤立等は自助・公助には限界があり、多様性を認め合って地域住民同士で助け合い、共に生きていく持続可能なモデルが必要です。当団体は社会福祉協議会と防災協定を結んでおりますが、防災の観点から見ても地域のつながりは非常に重要です。人のつながりが増えて暮らしに安心感を持てる人が増える。また、希望や夢を持って人生を歩める子供や若者が増えるような取り組みをしていきたいと考えています。

わんぱく相撲の復活

過日、以前に富士五湖青年会議所で主催していた「わんぱく相撲」で人生が変わった、という方にお会いしました。青年会議所の活動が誰かに感謝されていることや、子供たちに夢を与え将来を変えたと言って頂けることは先輩方の功績であり、それこそが青年会議所の目指しているところであり、続けていかないといけないと強く思わされました。わんぱく相撲は新型コロナウイルスの流行から開催を見送っておりましたが、復活を願う声に嬉しくなるとともに、地域の子供たちに夢を与えたいという願いから、本年より再度復活させます。

結びに

青年会議所は「修練」「奉仕」「友情」という3つの信条のもと「明るい豊かな社会」の実現を目指す社会貢献活動を行っています。それも無報酬で、活動費は基本的に会員の年会費となります。青年会議所は40歳で卒業となりますので、そう考えると普通は、夢中で仕事をするべき世代だと思います。私自身も事業が駆け出しで、時間の余裕があまりありません。それでも私がこの団体で活動を続けようと思ったきっかけは、当会議所の66年前の設立趣旨を読んだ時でした。戦後十数年の、まだまだ貧しかった富士五湖地域の為に、当時の同年代が感じていた事に想いを馳せ、そんな方々のおかげで明るく豊かに暮らしてきた私たちは、その先の世代の事をしっかり考える事が出来ているのか。そう感じ、この歴史と、この団体は絶対に衰退させてはいけないと、覚悟を決めた次第です。富士五湖青年会議所の仲間と一緒に進むこの一年が、誰かの心を動かし、その誰かがまた仲間になり、地域に良い影響を与えられることを願っています。

公益社団法人富士五湖青年会議所
第66代理事長 外川 ゆりか