2020年度理事長所信

公益社団法人富士五湖青年会議所

第61代 理事長 小山田 考佑

ONE STEP

~一つずつ、一歩ずつ、進め~

~はじめに~

2019年5月、平成から令和へと改元されました。振り返れば平成は多くの自然災害に見舞われました。日本人は古来より自然と共生することで大規模な自然災害に負けない国民性を築いており、大地震や異常気象などがもたらす、目をそむけたくなるような現実にも常に国民一丸となり復興に向けて力を合わせてきました。一方で、バブル崩壊後の経済は失われた20年とも言われ、長いデフレーションに突入しました。経済情勢が変化する中で、女性の社会進出や全ての労働者に対する働き方の水準は、他の先進国よりも低く、社会構造や雇用制度などを改革すべき時期にあります。しかしながら、広く普及したグローバル化やインターネットは、社会の価値観を変化させ万物の多様性を生み、日本のものづくりが新たな価値を生み出さなければならない時代でもありました。大企業から個人にいたるまで、情報社会を通じて伝統や技術を再度認識し発信していくことが求められています。

国際情勢では国と国の対立からテロリズム台頭による平和、秩序、政治の混乱は世界のグローバル化に深い影を落とし、アメリカと中国の軍事的情勢と経済戦争によって世界経済は緊張感を含んだまま、さらに複雑化しております。

ナショナリズムとグローバリズムが情報社会を通じて混同する現在は、一個人がSNSを通じて何百万人もの人と繋がりをもてる反面、現実に我々が住み暮らす地域では人口減少による生産性の低下、格差社会による貧困や教育格差など、多くの問題を抱えて地域の価値観は共有しづらくなっています。人間として本当に必要なものが何なのかとても不明瞭です。この新時代に何を思い、何を考え行動していくのか、その答えは我々青年の行動に託されています。

富士五湖青年会議所は1960年に富士五湖地域1市2町4ヵ村、富士吉田市、富士河口湖町、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、道志村を一つの経済基盤と考え、富士五湖市実現に向け、日本で初めて実在市名をもたない広域青年会議所として誕生しました。世界文化遺産である富士山に抱かれた5つの湖をはじめとする多くの自然とそこに根付いた文化は今や世界中からの注目を浴び、観光産業の期待感は年々増加しているなか、この2020年をもって今後どうあるべきか考える転換期でもあります。

昨年は創立60周年を迎えるにあたり、先輩の皆様から厚いご支援をいただき、また日頃より本青年会議所にご理解、ご協力をいただいている関係各位、活動を共にする各地青年会議所会員の皆様には深く御礼申し上げます。大きな感謝の気持ちを胸に61年目の歩みを一歩一歩確実に踏み出していきます。 新時代の幕開けは大きな期待や高揚感で社会を包みました。2020年東京オリンピック、パラリンピックという世界的な祭典の年にこの富士五湖地域で活動できることは大きなチャンスであり、喜びでもあります。地域の問題、課題に向き合い常に時代に合わせて進化していくことを求められている青年会議所で高い志をもった会員と共に歩めることを幸せに思い、自分たちの役割を全うすることを決意し、今を生きる責任をもちこれからも新たなる挑戦をして、運動展開してまいります。

一つひとつ乗り越えていく持続可能な組織への一歩

我々青年会議所の活動の根幹は円滑かつ正確な組織運営にあります。組織の綻びは常に内側から起こるものであり、強い土台となる組織運営ができなければ地域の問題に対処することが難しくなってしまいます。青年会議所は毎年、大きなビジョンを掲げますが、そこに辿り着くには綿密な計画と確実に一歩一歩踏み出していくことが求められています。時に結果を求めて行動してしまいますが、行動する先に結果があるのであり、青年会議所運動に近道はないのです。まず自分の役割を考えてみる、一つ自分にできることを始めてみる、常に意識して行動することが組織の活性化に繋がり、正常な組織運営ができるのであります。組織で個人をサポートすることで問題や課題を解決し、常に奉仕の心をもち、誰に対しても手を差し伸べられるよう行動することが組織力の強化と会員の成長に繋がります。会員の成長は適正な委員会、理事会を生みだし例会、事業を通じて青年会議所が地域社会に運動展開をすることができます。

日本青年会議所は2019年に日本で最もSDGsを推進する団体になるべく外務省とタイアップを行いました。SDGsは国連で定められた、誰一人取り残さない持続可能な社会に向けて発展途上国のみならず先進国自身が取り組む開発目標となっています。地域社会においても持続可能な目標を共有するべきであり、その先導者としての役割を我々は担っていかなければなりません。富士五湖青年会議所が持続可能な組織であるには先入観に囚われず時代に合った組織とは何か考える機会でもあり、現実を受け止めて今できることを行動しなければなりません。会員の豊かな人生、未来を描き実現することで、富士五湖地域に信頼される組織をつくり、会員と地域にとって必要とされる組織へ改革をしなければなりません。

一人ひとりが意識して挑む拡大

青年会議所は20歳から40歳までの会員で構成されており、限られた期間でしか活動ができません。そして、大きな特徴として毎年、違う役職に就き運動展開をしております。個々に与えられた役割を精一杯取り組むことが個人と組織の成長に繋がっていきます。また青年会議所は様々な職種をもった会員で構成されており、ネットワークは世界に繋がっています。普段の活動から異業種が交流をし、情報交換することで同業種では知りえなかった知識や知恵を共有することも大きなメリットの一つでもあります。しかし、近年は会員数の減少に伴い組織の循環が滞っている現状もあります。地域社会に根差した活動を行うには継続的な会員拡大が求められています。高い志をもつ個人が行うだけでは拡大は単発的であり、継続的な拡大はできません。個の力を収束し、一人ひとりが危機感をもって拡大に挑まなければならない現状はすでに始まっています。地域のことを思い活動する我々が地域に必要とされるには、まずは会員から青年会議所の高い理想を共有し、全会員一つとなり拡大に挑まなければなりません。

一つ先、一歩先を見るまちづくり

2013年に富士山が世界文化遺産登録されたことを受け、富士五湖地域でも外国人観光客が多く訪れるようになりました。日本政府が外国人観光客を2020年度は4000万人を目標としている中、観光産業は経済においても更なる発展が見込まれています。現在、日本の地方都市は多くの観光客が訪れますが、一過性であること、長期滞在をしていただけないことはどの地方都市が抱える問題でもあります。富士山という日本を象徴するような自然があっても、そこに住み暮らす住民がその価値を深く理解し、その魅力を輝かせることができなければ意味がありません。地域に眠ったままの魅力を掘り起こし発信していくには、地域を巻き込んだコミュニティを中心としたブランディングが必要であり、共通の意思をもち地域の価値を様々な形に変換していくことが必要です。またインバウンド向けに国際化も求められる側面もあり、富士登山鉄道の構想も検討が始まりましたが、富士山とその周辺地域の自然を豊かに残しながら地域経済に活用し持続可能な観光都市への在り方を考えなければなりません。多様なニーズに応えていくには、まちの設備の充実といったインフラの部分だけでなく我々自身の内なる国際化が必要になっています。2020年東京オリンピックパラリンピックが開催されるにあたり、富士五湖地域の市町村がフランスのホストタウンとなっています。この機会をきっかけに、2024年パリオリンピックパラリンピック開催までに、スポーツだけでなく文化や産業を通じて相互に国際交流を続け、富士五湖地域の国際化を加速することが求められています。2025年大阪万博、2027年リニア中央新幹線開通と日本にとって世界に向けて発信する場面が多いなかで、この機会をチャンスと捉えて富士五湖地域はさらに魅力ある地域へと踏み出し地域活性に繋げます。

また近年は異常気象ともいえる自然災害が頻発しており、防災に関するインフラ整備や地域での防災活動は重要性を増してきております。富士五湖地域には年間を通じて観光客が多く訪れています。いつ起こるともわからない災害の不安は地域住民のみならず、この地を訪れる観光客にも同じリスクがありますが、富士五湖地域が連動して地域防災を行うには共有認識のある防災対策が必要となります。富士五湖青年会議所は2017年に活動エリアすべての市町村社会福祉協議会と防災に関する締結を結びました。富士五湖青年会議所が地域の懸け橋となり地域防災の更なる強化に向けて防災について考えなければなりません。

2015年に選挙権年齢が引き下げられてから多くの国政選挙、統一地方選挙がおこなわれてきましたが、若者の選挙ばなれは多くのメディアでも取りざたされており、若者のみならず、さらに多くの方に政治に興味をもっていただくことが必要です。青年会議所でも公開討論会を開催するにあたってインターネットツールを使い、討論会の配信をリアルタイムで行うなどしています。我々が政治的中立の立場になり、候補者の政策が明確に伝わり、有権者が関心をもって政治に向き合うために、工夫を凝らした公開討論会の開催を目指して活動していきます。

一つずつ一歩ずつ成長する青少年育成

2020年に国は教育改革を新たにおこないます。それにともない教育指導要領も見直され学校教育は大きく変化します。移り変わりの激しい時代において子供達のおかれた環境も目まぐるしく変化していますが、この新時代を生きぬき、社会で活躍できる力とは何なのかを大人も同じ目線にたち考えることが求められています。インターネットの普及により情報が簡単に手に入り、今後も技術の進歩により恵まれた環境で子供たちは多感な時期を育ち、人格を形成していくことでしょう。しかしどんな時代にあっても自然災害や息苦しい社会構造は不意に訪れるものであり、困難に挫けそうになることもあります。課題や困難に立ち向かう強い心は子供達だけでなく、大人も寄り添うことで育まれます。子供達が新しい一歩を踏み出し、成長を間近で感じられた時が我々大人にとって喜ばしいことでもあり、成長でもあります。いつの時代も社会が豊かになるようにと生み出されたモノであっても、時と場合によって人を傷つけるモノとなってしまいます。どんな便利なモノでも扱いかたは個人に委ねられております。人に愛されて育った子供は人を愛すことができるように、これからの時代も人を思いやることの大切さを子供達に伝えていかなければなりません。富士五湖地域には遺さなければならない自然や文化があり、それはすべて子供達に借りているものです。富士山や湖が織りなす美しい自然や文化を肌で感じ大人と一緒になり、体験や経験を積んでいくことがこの地域を愛するきっかけになります。地域の魅力を我々がさらに理解し子供達に伝え、地域に愛し愛されて子供達を育ていくことで、この富士五湖地域で活躍する若者を増やしていくことができるはずであり、子供達の人生を豊かにしていくものと確信しています。

富士五湖青年会議所はわんぱく相撲富士五湖場所を毎年開催しております。相撲を通じて心身の鍛錬と健康の増進を目的とし、これまでに多くの富士五湖地域の小学生にご参加をいただきました。相撲がもつ礼儀礼節を学び、勝つことの喜びと負けることの悔しさを知り、強く優しい子供達の成長を促すだけでなく、継続的に開催されているのだからこそ、改めて、その意味や意義を見つめ直して青少年育成に活かさなければなりません。

地域を導く人財育成への一歩

青年会議所は大人の学び舎と呼ばれることもあり、長い歴史の中で奉仕、修練、友情の三信条のもと地域に根差した活動をすることで自己研鑽に繋げていき、40歳を迎えた後でその成長を本業や地域貢献に活かすべきであります。青年会議所には常に自身にとってのチャンスがあり、手を伸ばすか、背伸びをしてみるかどうかの選択の機会があります。青年会議所を通じた経験や体験は人生の大いなる糧となり、より強いリーダーシップを発揮していくことができるのです。今の自分よりも常に一歩先を見て行動し、今よりも一歩先に進んでいくことで現代社会という荒野に道を創り、後に人が続いていくことができるのです。我々が変化を恐れずに積極的に行動を示していき、地域に能動的な改革を促していかなければなりません。地域にインパクトを与える人財を生み出すだけでなく、住民と共に意識変革を起こし行動的市民活動を誕生させなければなりません。

一つずつ共感を呼び運動が効果的になる広報

インターネットの普及より広報はホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービスを使用したものが当たり前となっており、青年会議所運動を伝える、重要なツールとなっています。広報を通じて青年会議所や青年会議所が行う事業などについて認知と理解を深めてもらい、信頼関係を構築して最終的には協力者となってもらうことを目的としなければなりません。しかし意味や価値が見えにくい情報では共感は生まれず、広報としての意味をもちません。デジタル、アナログ問わず外部への発信はターゲットを明確にしなければなりません。ユーチューバーやインスタグラマーが何百万人のフォロワーを持ち、共感を呼ぶ時代です。そういった個人での発信力が強くなった今こそ、青年会議所はあらゆる手段で広報を組織の力でおこない、青年会議所運動を見える化しなければなりません。運動の見える化は組織の内側にも重要なものとなります。会員の活動が家族や自社に理解され共感を得られることが組織力強化にも繋がり、青年会議所運動を地域により効果的に伝えることができます。

~むすびに~

新日本の再建は我々青年の仕事であるという創始の覚悟のもと1951年青年会議所は立ち上がりました。志高き青年の灯は今も燃え続けており、我々はその志を引き継がなければなりません。青年会議所運動は我々の人生を豊かにし、明るい豊かな社会を創造する起点となっております。富士五湖地域は可能性に満ちておりますが、そのことを肌で感じるだけではなく、その可能性にしっかりと目を向けて地域に向き合い未来を切り開かなければなりません。そして自身の内側にある本当の自分に向き合い、また一つ、一歩ずつと可能性を広げていくことが豊かな自分をつくるのです。

60年にわたり、運動を続けてこられた諸先輩方が築き上げてきた、歴史や伝統を胸に刻み、時代に合わせて継承していくことが我々現役世代に託された使命です。振り返れば私自身も多くの先輩に支えていただきました。挫けそうな時には先輩方と同じように励まし支えていき、共に富士五湖地域の明るい豊かな未来について語り合う。世代や職種を越えて様々な方と出会えたのも、常に背中を見せて先導してくださったのは先輩方であり、目指すべき目標です。青年会議所を通じて出会えたすべての方に感謝の気持ちをもち、富士五湖青年会議所61年目が素晴らしいものとなるよう、全身全霊で会員の皆様と共に一つずつ、一歩ずつ確かな歩みを踏み出して運動展開していきます。