2019年度理事長所信

公益社団法人富士五湖青年会議所

第60代 理事長 高村 賢二

進化の礎

~歩みに感謝し、「いま」を変革し、地域を導く~

~はじめに~

 1960年6月25日、富士五湖地域の先人達は、現在の富士吉田市・富士河口湖町・西桂町・忍野村・山中湖村・鳴沢村・道志村を一つの経済基盤と捉え、明るい豊かな地域にするため、富士五湖市の実現を目指し、全国で初めて実在市名を持たない名称の青年会議所として立ち上がり、本年で60周年を迎えることとなりました。60年の長きに渡り、先達は富士五湖青年会議所の志を持って運動を展開し、次の世代へ引き継いでまいりました。そしてその歩みの中で多くの地域行政、並びに各種団体や地域住民の皆様に協力、支援、応援していただきました。多くの方々の協力なくして運動の継続は困難であり、皆様の期待に応えるため、我々は課題から目を背くことなく未来を向いて行動を続けてまいりました。その歩みと志があったからこそ、「いま」があり、富士五湖青年会議所として運動を展開できていることに改めて感謝いたします。

 2019年は「平成」と言う一つの時代が終わり、新たな元号としての歩みが始まる節目の年でもあります。新たな時代を迎えても富士五湖地域を明るい豊かな社会にするため、我々が取り組まなければならない課題は山積みです。我々は青年らしい柔軟さと行動力で地域の課題と向き合い、より良い未来へ導く若きリーダーとして進化し続けていかなければならないと強く感じています。そのためにも歩みを学び、感謝の気持ちを持ち、未来を見据えて「いま」を変革し、全力で行動してまいります。

~進化した富士五湖地域の実現~

 富士五湖青年会議所は、富士五湖市の実現を設立趣意書に掲げ、今日まで活動、運動展開を行ってまいりました。60年の歩みの中で先達は、その時代、時代において富士五湖市の必要性や重要性を唱え続け、富士五湖市実現への歩みを進めてまいりました。そして今も変わらず富士五湖青年会議所は、現在の各市町村となった点を線で結びながら横断的な運動を展開し続けています。富士五湖地域には、世界文化遺産の富士山とその構成資産である富士五湖や先人から受け継ぎ守り続けてきた雄大な自然を有しており、日本中、世界中から注目されています。さらに近年では、外国人観光客の増加に加え、来る2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、地域内外問わずより一層の期待と関心が高まっており、各行政の発展だけにとどまらず、富士五湖地域全体を大きく発展させる大きなチャンスがある「いま」こそが変革の時期だと考えます。そのためには、行政の垣根を越えた高い視座から富士五湖地域を捉え、地域全体としてのビジョンやブランドを掲げ、その実現へ向けた必要な施策を考え、実行していく仕組みをつくり、富士五湖地域としての価値をもっともっと高めていくことが重要です。地域全体を発展させることができれば、各行政や地域住民も発展していきます。行政の枠を超えて運動を展開している富士五湖青年会議所だからこそ、その役割を担い、行動を興し、我々のビジョンに賛同、共感する人々を集い、協力を得て「進化した富士五湖地域」実現への第一歩を踏み出します。

~志を伝える拡大広報戦略~

 同じ地域に住む同世代の青年達に我々の活動を伝え、共に活動することを誘うと「自分には無理だから」「忙しくて時間がないから」「他にやることがあるから」と言った言葉が返ってくることがあります。しかし、青年期は、体力、知力、行動力があり、社会においても飛躍的な成長が期待できる時期だからこそ、自らのいまの環境に満足せず、自己の可能性や成長を求めて挑戦できるのではないでしょうか。青年会議所は、「修練」「奉仕」「友情」という三信条を掲げております。若い人々が集まり、自己研鑽し、成長し、その培われた力を用いて地域の課題へ果敢に挑戦し、地域への奉仕を通じて会員や関係者、地域の人々と関わりを深め、かけがえのない友情を育むことを信条としています。そして青年会議所は、全国各地、世界中に存在し、どの国や地域にも同じ志を持つ同世代の青年が活躍しており、顔を合わせたこともない彼らとは、いつでも連絡を取り合い、共に協力し、切磋琢磨できる目に見えないつながりがあります。東日本大震災など日本や世界各国で起こる災害時には、青年会議所間のネットワークと行動力で迅速に連携をとり、率先して人的物的支援などを行い、助け合いの力が発揮されています。また、様々な成長や経験の機会を提供することも青年会議所の役割の一つでもあります。自らが挑戦したことに対する失敗を失敗と捉えず、成長の糧として受け入れる組織文化があり、失敗を恐れることなく課題と向き合い、やり遂げる経験には、成功は約束されていませんが成長は約束されています。共に活動する会員にも特徴があります。会員は皆異なる仕事をしており、自己成長や人脈、知見を広げたいなど、様々な目的を持って集い、知恵を出し合いながら活動し、多忙な仕事や家庭、社会を懸命に生き、苦労や困難にも逃げずに立ち向かいながら、自らの求める目的のために「時間」と言う自らの命を使っているからこそ形式的な活動からは決して得ることのできない深い学びや気づき、周囲への説得力、共感、友情を得ることができます。

 この地域には青年会議所に限らず地域を想う志を持ち様々な分野で地域貢献活動している青年や企業、団体も多く存在します。その彼らに対して、我々青年会議所は共通する志や組織、会員の魅力を十分に伝えきれているでしょうか。青年会議所の掲げる綱領の中で「志を同じうする者相集い力を合わせ、青年としての英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築き上げよう」とあります。青年会議所だけの視点に留まらず、志を同じくする者である青年、企業、団体の力も借りて富士五湖地域をより多くの同志と共に明るい豊かな社会にしていくべきではないでしょうか。志が広がれば、必ずやまだ見ぬ同志に出会い、かけがえのない友情、絆が生まれると信じています。良質な出会いや縁は、志を持って行動する先に偶然ではなく必然のこととして我々の前にあらわれます。我々の志や仲間、運動、そして地域の方々を信じ、声高らかに青年会議所の魅力を伝え続けてまいります。

~一生涯、成長、貢献し続ける人財への変革~

 新年を迎えたから今年こそは変わろうとか、気持ちを新たに挑戦していこうとか、人は節目を感じると、これまでの自己を見つめ、より良い人生を求めて決意します。しかし掲げた決意を継続することは、簡単なようで非常に難しいことです。また世の中では、効率化ばかりを求め、社会の仕組みは細分化され、専門性が高くなる反面、仕事や経験の幅が狭くなる傾向にあります。地域を担う青年であるならば、社会は様々な側面から成り立っていることを理解し、一つの専門分野に限らず、知見を深め、視座を高めて、経済、社会の全体像を見据え、継続的に学び、成長する心構えと行動も求められています。何かを成遂げるには、まず志を掲げ、自らのいまを捉え、志を成し遂げるための自己を成長させることが必要です。

 青年会議所は、よく「大人の学び舎」と例えられますが、自己研鑽するためのプログラムや知見を広げるネットワークや活動、人脈があり、望めば無限に近い程の学びと経験を積むことができます。さらには、自己のためだけではなく、世のため、人のためを想う志を育む土壌があります。学び舎で培われた力は、40歳になって卒業してからも決して消えることはありません。それは卒業後も成長を続け、今尚、地域に貢献している先達が証明してくれています。まさに青年会議所は、一生涯、成長、貢献し続ける人財を輩出する団体であります。このような人財を育成する学び舎を同じ地域を担う青年世代と共に会員もより深く、理解、活用し、地域の未来を導いていく人財へと変革してまいります。

~人間力を高める青少年育成~

 昨今のこども達を取り巻く環境は、インターネットや技術革新により親世代の幼少時代と比べ、変化のスピードは格段に早くなり、必要以上に溢れる情報に翻弄されてしまい、こどもの将来や世の中の未来に漠然とした不安を抱える保護者も増えてきているように感じます。しかし世の中がどんなに変化しても、こども達が大人になるために身につけておくべき能力は、人間力だと考えます。人間力と一言で言っても、抽象的かつ様々な解釈や定義もありますが、大きな夢を抱き、いまを夢中で生きる力、周囲や環境に守られ、生きていることへの感謝の心、自分のためだけではなく誰かのためを想う気持ちを人間力として考え、こども達に伝えていきます。字面だけのきれいな言葉を並べ手伝えたところで、こども達の心には響きません。感性豊かな青少年の時期だからこそ、大人が本気になって、真剣になって、身をもって伝える心意気が不可欠であり、言葉だけではない実体験を通じて、こども達に人間力を高める青少年育成を展開してまいります。

~フランスから始める国際交流都市への進化~

 富士五湖青年会議所は、一昨年度より政府の掲げる2020年東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿地誘致を契機としたホストタウン構想に着目し、富士五湖地域の国際交流を通じた地域発展の可能性について啓発運動を展開してまいりました。富士五湖地域では、6市町村が事前合宿誘致国としてフランスを誘致し、また道志村、山中湖村はオリンピック種目である自転車競技ロードレースコースに決定しました。近隣地域が同一国を誘致したこと、山梨県で初のオリンピック会場となったことなど、2020年に向けて地域の注目度が高まっていることを受け、昨年度、富士五湖地域とフランスとの交流を推進するマスコットキャラクターを地域住民から募り、多くの住民から投票の結果、富士五湖地域公認のキャラクター「ふじーる」を誕生させることができました。そして本年度は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運を高める地域の活動に協力しながらもホストタウン構想の本来の目的である東京オリンピック・パラリンピック後の継続した国際交流へ向け、相互発展できる共通するテーマを模索し、関係構築する機会をつくり出し、持続可能な国際交流の礎を築いていきます。

~若者が変えていく、未来の政治選択~

2019年は統一地方選挙の年となり、この地域でも多くの市町村で首長選挙や議員選挙が行われます。また選挙権年齢が18歳まで引き下げられたことで、若い世代に対する政治選択への期待、意志が求められるようになりました。これからの地域を支えていく若い世代は、収入減少や出生率の低下、高齢化など、負担が増加の一途をたどる一方で、有権者の年齢比率では高齢者に比べると低く、意志が反映されづらくなっています。また立候補者を選ぶ理由として、マニュフェストや個人の意志ではなく、政治への関心はないが、知人に依頼されたからと言う理由だけで投票に行く有権者もいます。青年会議所は、政策本位の政治選択が地域を変えると信じ、全国各地で公開討論会を開催し、富士五湖青年会議所では、各市町村の首長選挙において立候補者の協力の下、有権者の方々に政策本位の政治選択できる機会の提供を行っています。公正中立の立場で提供し続けてきた成果として、公開討論会に対する有権者の認知度や立候補者の理解も少しずつ高まってきていますが、若者の参加者が少ないと言う課題もあります。日本や富士五湖地域の未来を考えるならば、地域の未来を担う若者こそがもっと政治に興味、関心を持ち、他の有権者世代や立候補者に影響を与えるような存在となり、自分たちの票や声が世の中を変えていけることを、我々は同世代の一人として地域の若者達に伝えていかなければなりません。他人任せではなく、政策本位や自らの意志で政治選択実現へ向け、継続してきた公開討論会の在り方にこだわらず、今一度見つめ直し、若者が政治への関心、理解を深められる機会を提供してまいります。若者の政治に対する意識変革を一歩ずつ進めることで、小さな声がやがて大きなうねりとなり、政治を変える力になると信じています。

~むすびに~

 いつの時代も危機感を持ち、変化をいち早く捉え、率先して行動できることが青年の強みでありました。しかし歴史を学べば、青年の力だけですべてを成し遂げることができたわけではありません。その過程には、青年の志や行動に共感し、時には手を差し伸べ、時には機会を提供してくださる時の功労者や経験豊富な方々の存在がありました。自分達だけの力ではなく、協力者の支援があってこそ成し遂げてきたことを「いま」もこれからも決して忘れることなく感謝の心を持ち続け前進してまいります。

 未来は、青年だけでつくるのではなく、年齢問わず、いまを変革しようと挑戦する志のある者と共に「いま」を変革し、行動した先に導かれると信じています。富士五湖青年会議所には、60年の長い歩みの中、時代、時代の運動展開の中心を担った先達がおります。そして、「いま」の時代を担う我々現役会員がいます。一つの地域において、60年間、共通する志を持ち活動し続けてきた団体は稀少であり、だからこそ地域を導く原動力となるのは、この富士五湖青年会議所であると確信しております。今こそ、富士五湖青年会議所の志を持つすべての同志と共に、富士五湖地域を次なるステージへと導き、進化の礎となることをお誓い申し上げます。